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秋鹿ゴボウ
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宍道湖を見渡す高台で、土の香りいっぱいに収獲
その香り、柔らかさは料理でも抜群の存在感を発揮
市内から宍道湖北岸に沿い国道431号線を走った先、本宮山の山腹に広がる秋鹿、岡本、大垣、上大野町内の肥沃な土地が育んだ台地の恵みこそが「秋鹿ごぼう(あいか)」です。
今や地元消費が中心となりつつある秋鹿ごぼうは、宍道湖を見渡す、果ては大山も望むと言う美しい景観のもとで栽培されています。
砂地でなく粘土質の土壌で栽培されたこのごぼうは、転がり落ちそうな急傾斜地で栽培され、11月中旬ごろから本格的な収穫がスタート。
香りが良く、「コレごぼう?」と思うほどに柔らかい食感が特に印象的で、その味は松江のお殿様も大好物だったことでも知られているのです。
今回は、希少となった秋鹿ごぼうを守るため、土と戯れる日々を送る清水秋廣さんの畑を取材。改めて素材の良さを知るとともに、言葉を交わさずともしっかりとつながる師弟の絆を感じることができた貴重な取材となりました。
ショベルを使ってキレイに土を掘り起こしていく清水さん。ある線に沿って深さ1mほどの穴を一直線に掘ったかと思うと、そこに登場するのが弟子の山崎さん。穴の手前に、大きな釘のようなものを差しこみ土を盛り上げ、そこから先っぽが顔を出すごぼうを引き抜く清水さん。実に小気味いい。もちろんそこに言葉はなく、まさに阿吽の呼吸。見ていてとにかく気持ちがいい。恥ずかしながら、様々な収穫の様子を長年見続けてきた私もごぼうの収穫シーンははじめて。こうやって収穫されるんだと感心していると、次なる作業場へ。この作業が畑一面、延々と繰り返されるのです。
このごぼうの特徴を清水さんに尋ねると、「とにかく香りと柔らかさ」。
繊維質による口当たりの悪さがあまり感じないのだと言います。そして香りに負けない味の深みも自慢だそうで、その味を実感するにはきんぴらやごぼう飯にするのがいいのだか。
一度みなさんもチャレンジしてみてはいかがでしょう。
素材を話す清水さんの表情はさっきまでの職人の顔とは違いとっても穏やかで、その視線は親子ほど年の離れた山崎さんにも向けられています。
「清水さんは筋の通った職人。厳しいけど、父親のように接してくれますから。日々勉強の毎日です」。そう語る山崎さんは若干24歳。清水さんのわが子を見るような視線の理由は、自分に続く頼もしい後継者?を得た喜びなのかもしれませんね。
ともあれ、師弟の絆が作り出す希少な地野菜。
地元のスーパーやJAの販売施設でしか主に手に入らないだけに、その味を確かめたければ現地へとGO! それだけの価値があるのは、自宅でごぼう飯を再現した私が保証します。あ〜美味かった。
秋鹿ごぼうの販売場所
松江市内のJAグリーン、スーパーマーケットなど
秋鹿ごぼうはこうして食べる
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上記で清水さんがオススメされた食べ方の一つ「ごぼう飯」。
使う素材はこのごぼうとうま味が染み出す鶏肉のみで、こちらを炊き込みご飯の容量で調理すれば完成。
まず、驚いたのはその香り。とにかく炊飯器を開けた際にフワッと立ち上がるごぼうの風味が半端じゃない。
またご飯とともにパクッと頬張れば、またまた噛むほどに野生的なうま味がジュワッ。しかもごぼう独特の後に残る繊維質のパサパサ感をほとんど感じない。
う〜ん、しっかりのうま味と食べ応え。きんぴらならその存在感がさらに際立つかもしれませんね。
清水さん、山崎さん、ありがとう!!
その香り、柔らかさは料理でも抜群の存在感を発揮