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津田かぶ

江戸のお殿様も愛した伝統野菜
その味はじっくり時間をかけ漬物に


江戸のお殿様も愛した伝統野菜
その味はじっくり時間をかけ漬物に


「津田かぶ」とは、松江市東部の津田地区一帯で昔から栽培される「まが玉状」の赤カブのことで、その歴史は古く、松江藩松平直政公の時代(1600年中頃)から栽培されていたそう。元々は「日野菜かぶ」という滋賀県日野町で江戸時代から栽培されていた尻細の長カブが原種となっていて、参勤交代の際、松江に持ち込まれました。大橋川の沿岸にあるこの地域が、宍道湖からの有機質を豊富に含んだ肥沃な土壌であるため、江戸時代には城下で消費する野菜類のほとんどをまかなうほどの生産地に。その中心的な素材だったのがこの津田カブだったとも伝えられています。
旬は秋〜冬で、12月が収穫の最盛期。勾玉(まがたま)のように曲がった形が特徴で、外皮だけ色が付き、上部が赤く、先にいくにしたがって白くなっています。
独特の高い香り、甘みから、主にお漬け物として利用。出雲地方の冬のお漬け物の代名詞とし古くから愛されてきました。


一時は収穫の手間から生産農家が激減。地元でのみ消費される幻の味となりつつあったのですが、近年、作付けの拡大、収穫期間の延長といった様々な研究の成果で年々生産量が増加。その味を守るため現在61名の農家がその味を受け継いでいます。

現在の生産地は、松江市では福富地区、朝酌地区、川津地区が中心。
そのお一人、契約栽培農家の野津さんの畑を訪ねると今まさに収穫の真っ最中。晩秋から初冬にかけての今の時期、この地区では津田カブを天日にて干す「はで干し」が最盛期となり、のどかな田園風景を彩るこの風景こそ実は松江市の隠れた冬の風物詩。400年経った今もなお受け継がれる昔ながらの技術。匠の伝統を感じる一瞬でもあるのです。
野津さん曰く、「このはでも昔は14段ぐらいあってね〜。最近は生産農家の減少、高齢化でそんな高く組めなくなったから、高くても6段ぐらいかな。平均で4〜5段。みんな年をとってきたせいで高いところが危険になってきたんですよ(笑)だから高くするのではなく、このはでも横に長くなってきてる(笑)」

まさに「へぇ〜」。
こんなところにも今の現状に対する農家の知恵を垣間見ることができました。
それにしても奥様ともどもお二人ともとってもいい顔。
土にまみれた手と日焼けした表情から感じる活き活きとした人生に、素材への誇りと愛情を感じることもできました。

津田かぶはこうして食べる


伝統が息づく城下の味 津田かぶ漬け


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