大山山頂付近のブロッケン現象(だいせんさんちょうふきん の ぶろっけんげんしょう)
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◆ミステリアス総合評価 ★★★★
神秘性★★★★★
歴史性★
畏怖性★★★
癒し性★★★★★
アプローチ難易性★★★★★
◆ PHOTO
(写真提供 鳥取県 雄峰さん)
◆ REPORT
春は新緑、夏は涼風、秋は紅葉、冬は白銀の世界。四季折々に美しい表情を見せてくれる大山。地元の人たちはそんな大山を “わがこころの山”として、『大山讃歌』という名曲を作った。老若男女、大勢の人たちに歌い継がれているこの曲の中に、このような歌詞がある。
「そう 大山は光がいっぱいだから♪」
この一文こそ、まさにブロッケン現象を言い得ている。ブロッケン現象とは、太陽などの光が背後から差し込んで、自分の影の周りに色のついた光の輪が現れる不思議な現象のこと。輪の内側は青色で、外側は赤色の光のことが多い。名前の由来は、ドイツのハルツ山脈の最高峰ブロッケン山で、よく見られることから名付けられた。ヨーロッパでは「ブロッケンの妖怪」とか、「ブロッケンの怪物」とも呼ばれている。
〜修験者が悟りを開いたという光〜
ブロッケン現象は、この世のものとは思えない神秘的な光景から、日本では「御来光(ごらいこう)」と呼ばれている。あたかも、阿弥陀如来が背にする光のように見えるからだ。霊山にこもって厳しい修行を積んだ僧兵や修験者は、この光を見ることにより、「阿弥陀如来が姿を現わした」と悟りを開いたという。それほど神々しい現象を、大山では7号目から山頂付近で見ることができる。幸運にも体験した登山家たちは、口々にこう表現する。
「まるで仏様の啓示のようだ」
「不思議な感覚に見舞われた」
「自分の姿が神々しく思えた」
「すごくハッピーな気分になれた」
「涙が出るほど感動した」
「何か良いことが起きる前兆のような気がする」
〜死ぬまでに一度は見たい〜
雲や霧に光が散乱して生じるブロッケン現象。虹にも似ているが、発生するための条件は虹よりずっと厳しい。頻繁に登頂する登山家でも、滅多に見ることはできない。山頂に光臨する阿弥陀如来は、簡単に恩恵を授けてはくれないのである。自然を愛し、山を敬い、希望を信じる人。そして、阿弥陀如来に選ばれた人だけが光の輪を見ることができると言われている。さて、前述の『大山讃歌』。その1番は、こんな歌詞から始まる。
あなたがもしも 一人になって
静かにこころを 見つめてみたい
その時は大山に行こう♪
名峰大山に登って、静かに自分を見つめた直したとき、奇跡は起きるかもしれない。登山家たちが「死ぬまでに一度は見たい」と乞い願う光の輪。もし、あなたが選ばれた人ならば、その神秘的な光に出会えることだろう。