中海に浮かぶ大根島が「火山島」だとご存じでしたか? あまり起伏のない平坦な島だけに、そんなイメージを持つ人は少ないことでしょう。しかし大根島は、約20万年前、島のほぼ中央にある大塚山の火山活動によって誕生したといわれています。大塚山の標高はたったの42mで、“火山”というより“小高い丘”といった印象ですが、なんと「日本一低い火山」なのです。
その火山活動の証しが、この第2熔岩洞窟「竜渓洞」です。昭和8年(1933年)、道路工事の際に穴が開いて偶然発見されたもので、北西の方向に80mほどくねくねと伸びる洞窟は、龍神様の住みかになぞらえてそのような呼び名が付きました。自然観察指導員の方に事前連絡を入れれば見学可能。指導員さんの案内を受けながら、長靴に懐中電灯という探検隊ルックで“大根島出生の秘密”に迫ることができます。
洞窟内は、年間を通して気温15℃。夏は涼しく、冬は暖かい状態に保たれています。熔岩が吹き出した火口といわれる円形ドーム状の空間「神溜り」や、天井に付着した熔岩がそのままつららのように固まってしまった「つらら石」など、熔岩がドクドクと流れていた当時の様子が岩肌に鮮明に残っています。水たまりには、暗闇での生活に適応して眼が退化した生物や体が真っ白になってしまったヨコエビの仲間、また、世界でも生息しているのはココだけ、しかもこれまでに見つかったのはたった9匹という「ゴミムシ」など、希少な生物が棲んでおり、学術研究の対象になっているそうです。運がよければ探検中に出会えるかも!?
竜渓洞が第2なら、第1は? もちろんあります。第1熔岩洞窟は「幽鬼洞」と呼ばれ、ぐるりと約100メートル続く環状の洞窟。大正15年(1926年)に発見され、溶岩流の跡が残るさまざまな形状の岩肌や鍾乳石、玉滴石など、火山活動の爪跡をはっきりと見ることができます。目が退化した魚が発見されたこともあるとか。ただし、現在は落盤の危険性があり、残念ながら立ち入り禁止となっています。
どちらの熔岩洞窟も国の天然記念物に指定されており、神秘のベールに包まれた空間にはまだまだたくさんのシークレットが隠されています。洞窟内を知り尽くした自然観察指導員さんの説明は、「へぇ〜」「ほぉ〜」連発のトリビアネタばかり。大根島を訪れたなら見学必至、素通りできないスポットですよ。