国道9号線沿い、宍道湖東岸の「袖師ヶ浦」は美しい夕日が見られるスポット。オレンジ色の夕日が湖面に近くなってくると、湖上には嫁ヶ島のシルエットが浮かび、まるで絵のような情景に。この素晴らしい“夕日ショー”を見るため、袖師ヶ浦には毎日のようにたくさんの人が訪れています。
そんな絶景が見られる袖師ヶ浦のすぐそばに、この「袖師窯」はあります。明治10年(1877年)、初代の尾野友市氏により松江市上乃木の皇子坂に開窯。地元産の土にこだわり、出雲地方に伝わる陶法をベースに製作を開始しました。3代目の敏郎氏は昭和6年(1931年)に柳宗悦が提唱した民芸運動に参加し、今までの伝統的な作品はもちろんのこと、“用の美”を追求した新作も手掛けるようになりました。現在は4代目の晋也氏がその伝統を受け継ぎ、和洋食器・花器・茶器など多品種にわたり、生活や時代のニーズにマッチした作品を作り出しています。地釉、柿釉、ゴス釉、糖白、藁白釉、辰砂などの釉薬を使用したシックな色合いで、落ち着きがあり、使い勝手のいい物ばかり。工房の2階では作品の展示・販売を行っているので、じっくり鑑賞して、お気に入りの品を探してみてください。
袖師窯では、作品を購入するだけでなく、素焼きに思い思いの絵柄を入れていく「絵付け体験」もできます。製作工程の見学もできる1階の工房で、まずは湯飲み、皿(直径約12p)、マグカップなどお好みの器をチョイスします。描く図柄が決まったら鉛筆で下書き。そして、「ゴス」と呼ばれる青色の絵の具を筆に含ませて、オリジナルの絵を入れていきます。恐る恐る描くよりも、大胆に、思い切りよく筆を運ぶのがコツだとか。体験はおよそ30分。手元に届くのは約1カ月後になりますが、焼き上がった作品を見れば旅の思い出がよみがえり、何よりの記念となることでしょう。