松江藩第7代藩主であった松平治郷(はるさと)公は、心から“茶の湯”を愛したお殿様。18歳で茶道に入門してからその才能を開花させ、「不昧(ふまい)公」の号で大名茶人として活躍しました。ついには、「不昧流」という自らの流派をうちたててしまったほど。ここ松江は、この不昧公の影響により茶の湯文化が広まりました。現在でも市民の日常生活に深く根付いており、全国的にお茶や和菓子の消費量が多い都市なのです。
そんな不昧公が過ごしていた松江城のお膝元、周囲を巡る堀川沿いの京店商店街にあるのが、お茶と茶道具の専門店である「千茶荘」。コチラでは、隣接するギャラリーの奥で抹茶と煎茶のお点前体験(前日までに要予約)ができます。
煎茶のお点前では、温度計や小さな水時計がお盆にセットされて登場。何が始まるのかとドキドキしますが、茶道の資格を持つスタッフが優しく教えてくれるので大丈夫。普段、何気なく入れている煎茶ですが、茶葉の種類によってお湯の温度が違ったり抽出時間が変わったりと、「へぇ〜」と思うような新たな発見があります。覚えて帰れば、自宅や職場でお客様にお茶を出すときに役立ちそうです。入れてもらったお茶は、いつもとはひと味もふた味も違う深い味わい。“茶処・松江”の落ち着いた雰囲気も、美味しさにひと役買っているのかもしれません。
近隣には、和菓子の手作り体験ができるスポットもあるので、自作した和菓子や市内で買い求めた物を持ち込んで、お茶と一緒に楽しむこともできます。小さな日本庭園を眺められるお座敷で行いますが、正座が苦手な人はいすに腰かけての体験も可能なので、気軽に“お茶の世界”の入口を経験することができます。
煎茶の香ばしい匂いに包まれた店内では、独自の製法でブレンドした出雲銘茶や茶道具などを販売。お点前の体験前と後では、お茶を見る目がちょっと変わっているハズ。一人前の茶人になった気分でお好みの茶葉や道具を選んでみては?