素盞鳴尊(すさのおのみこと)が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した後、“まがたま”を天照大神(あまてらすおおみのかみ)に献上し、これが三種の神器の一つである「八尺瓊の勾玉」になったと『古事記』に記されているように、勾玉は神話の時代から神秘的な力があるとされており、祭事を行う人や位の高い人が身に付けていたもの。太陽と月が重なりあった形を表し、大いなる宇宙を崇拝するということを象徴しています。勾玉のその形は全国各地によって多少違いがあるようですが、ここ「いずもまがたまの里伝承館」は、ふっくらとした丸みを帯びた伝統ある「出雲型勾玉」を唯一継承し守り続けている“まがたまの里”です。
館内に入ると、総重量2tという巨大な赤メノウや青メノウの原石たちがお出迎え。近くにそびえる花仙山では、古代より良質の青メノウや赤メノウが産出されました。ゆえにこの玉湯町は玉作りが大変盛んだったエリアで、玉作り関連の遺跡が数多く発掘されているのです。ロビーには、触れると幸せを授かることができるという超ビッグな出雲型勾玉も展示されており、のっけから勾玉パワーに圧倒されます。
1階の「勾玉ミュージアム」に入ったら、まずは勾玉の歴史と秘密をお勉強。縄文時代後期から3000年の変遷、製作を再現したジオラマが展示されているので、古代人たちが勾玉をどんなふうにして身に付けていたのかが分かります。
続く「めのう細工実演工房」では、4人の熟練職人による勾玉製作が目の前で繰り広げられます。勾玉が徐々に形作られ命を吹き込まれていく様子には、ただただ感嘆するばかり。名工たちの熟練した技と勾玉の美しさに釘付けになりそうです。
勾玉のことを詳しく知り、すっかりとりこになった後は、自らも勾玉作りにチャレンジしてみましょう。「勾玉作り体験」では、、蝋石(ろうせき)という比較的加工しやすい石を使い、約1時間かけて出雲型の勾玉へと仕上げていきます。ヤスリやサンドペーパーを駆使して少しずつ磨きをかけていく過程は意外に楽しいもの。しかも、こうして磨きをかけていくうちに、自分の願いが勾玉に宿っていくように感じるのです。
苦労の末、ピッカピカに磨き上げた“自分だけの勾玉”は特別な物。伝承館では、出来上がった勾玉にさらなるパワーを込めるため、縁結びの神様である「出雲大社」へのお参りをオススメしています。勾玉を両手で包み、叶えたい願いを心に念じ神前にてパワー注入! これで、神様の力もプラスされたアナタだけのパワーストーンが完成。いつも身に付けていれば願いが成就するかも!?
女性たちに人気なのが、「天然石アクセサリー作り」の体験。既製品を買うのもいいけれど、手作りならオリジナリティーもあるし、お気に入り度もUPするはず。店内にある豊富な天然石から色や形、石の持つパワーを見極めてチョイス、ブレスレット・ネックレス・ストラップなどを自由な発想で作っていきます。友達やカップルでおそろいにするのも楽しいですね。そのほか、印鑑作りや貼り絵体験もあるので、全部の体験を制覇してみて。
「ものづくりはちょっと苦手」という方は、めのう製品販売コーナーへどうぞ。出雲神話の世界が描かれた、西日本最大級という巨大なステンドグラスがお出迎え。名工が作った勾玉やオリジナルアクセサリーが目移りしそうなほどいっぱい。自分用に、プレゼントにと、“ビビッ”とインスピレーションを感じる一品を選んでみて。
体験やショッピングを楽しんだ後は、2階のレストランでひと休み。宍道湖を一望するパノラマレストランには、濃厚な旨みを持つカニ、宍道湖七珍のシジミや白魚、出雲そば等々をふんだんに使った地元グルメが目白押し。また、駐車場にはメノウが敷き詰められた足湯もあるので、最後はここでほっこりと温まってください。