「耳なし芳一」「むじな」「雪女」などの短編を収めた『怪談』や『骨董』といった著作で知られ、1年3カ月を松江で過ごした小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)に関する収蔵品を展示した記念館。武家屋敷が建ち並び、江戸時代の城下町風情が残る「塩見縄手」の通り沿い、「小泉八雲旧居」の西隣にあり、周囲の風景にマッチした木造平屋建て和風造りの建物です。八雲にゆかりある人や愛弟子たちの募金活動によって集められた寄付金で、昭和8年(1933年)に建設、開館されました。実は現在の建物は昭和59年に改築された2代目で、最初の建物はドイツのワイマールにあるゲーテ記念館を模した洋風建築だったそうです。
主な著作の初版本や直筆原稿、書簡、八雲が愛用していた遺品など、貴重な収蔵品は1,000点以上。そのうちの約200点が展示されています。ギリシャ生まれのイギリス人であった八雲がなぜ日本にやって来たのか、そしてこの松江の地でどのような生活を送り、数々の作品を書き上げてきたのか、数奇な人生を歩んだ彼の生涯や功績をパネルや写真等で分かりやすく紹介。左目を失明し、右目が強度の近視だった八雲が原稿を書くために特注した脚の長い机、常に携帯していた望遠鏡、来日時に着ていたスーツ、妻・セツの英単語覚え書き帳等々、八雲の人柄や当時の暮らしぶりを感じさせる品々も展示されており、100年以上たった今でも八雲の生きていた時代を鮮やかに思い描くことができます。