ここ中海・宍道湖エリアを空高く飛ぶ鳥の目線で見下ろしたいなら、このポイントを外すことはできません。標高453mの「枕木山」は島根半島の北山山系を代表する山で、知る人ぞ知る絶景スポット。
山頂へと続く道すがら眺めのいいポイントは幾つかありますが、中でも抜群に見晴らしがいいのが、NHKと民放放送局のテレビ塔がある場所。
広がる絶景に思わず「ワォッ!」と歓声。それもそのはず。テレビ塔の東側からは、まるで航空写真のような中海を見ることができるのです。中央に浮かぶ「大根島」や「江島」、境港とを結ぶ日本最大規模のラーメン橋「江島大橋」、美しい弧を描く「弓ヶ浜半島」がくっきり。クリアに晴れた日なら、米子の市街地、そしてその向こうにそびえる中国地方最高峰の「大山」も雄大なパノラマに加わります。
そして、西側の眺望も負けてはいません。こちらには、“水の都 松江”の街と宍道湖の眺望が待っています。夕暮れ時ともなれば、真っ赤な夕日に染まった宍道湖と市街地が幻想的に浮かび上がり、しばし時間を忘れてしまいそう。もちろん、空気の澄んだ早朝もオススメタイム。朝日が昇るにつれて徐々に色を変える景色は神々しく、何物にも代え難い美しさです。
また、テレビ塔よりさらに上に進んだ山頂近くには、第1展望台、第2展望台が。華蔵寺の駐車場から徒歩約3分の所にあり、東屋やベンチが設置されているので、より高い位置からのダイナミックな景観をゆったり楽しむことができます。
実はココ枕木山は、地元では夜景スポットとしても有名。まるで天の川のように輝く街の明かりにウットリ……。デートで訪れるカップルも多いそうです。ただし、くねくねとしたカーブの多い山道なので、夜のドライブで訪れる際にはくれぐれも運転に気を付けて。
枕木山の山頂にある「華蔵寺」は臨済宗南禅寺派の末寺で、今から1200年余り前に創建されたという歴史ある禅宗の古刹。
参道を登ってまず最初に行き着く「仁王門」では、運慶作といわれる「金剛力士像」がお出迎え。毎年5月には、子どもの健やかな成長を祈って、数え年2歳前後の子どもたちに仁王像の股をくぐらせる「仁王像またくぐり」の行事が行われます。さらに進むと、石造りでは日本有数の大きさといわれる「不動明王」が崖の上に出現。苔むした巨石、険しい表情が独特の存在感を醸し出しています。またその先には、亀山天皇(1260〜1273年在位)の病をたちどころに癒したという「杉井の霊水」が、岩の間から湧出しています。
境内には、本堂をはじめ、観音堂、開山堂、薬師堂など多くの建物が並んでいます。薬師堂に安置されている「薬師如来坐像」は藤原時代初期の傑作といわれ、国の重要文化財に指定。
周辺には樹齢数百年の大杉などの古木が生い茂っており、春のシャクナゲ、秋の紅葉と、四季折々の表情も見どころです。